これはヴィンテージのスーヴェニアジャケット(スカジャン)です。作られた年代は、使用されているジッパーや刺繍の特徴から1950年代中頃と思われます。
このスカジャンのデザインにはちょっと珍しい特徴があります。ぱっと見は普通の別珍のスカジャンに見えないこともないのですが、よぉく見ると首まわりがリブ仕様ではなく、ボディ部分と同じ別珍×サテンの襟が付いています。このように襟のあるタイプのものはツアージャケットと呼ばれ、主に軍人さん本人のお土産用として作られていたようです。
別珍面の前側です。左右とも白虎の顔が刺繍されています。また、両袖には白龍の刺繍が入っています。
別珍面の後ろ側です。大きな白虎がバランス良く刺繍されています。
胸の刺繍部分のアップです。
背中の刺繍部分のアップです。実はモチーフが虎の場合、大雑把ではありますが刺繍の仕方も年代判別の手がかりになります。特に目の周辺が顕著なのですが、古いものほど厳つい雰囲気や丁寧なデザインになる傾向が強く、逆に新しくなるほど可愛らしい雰囲気や大雑把なデザインになる傾向があります。
右腕の刺繍部分です。白龍が肩の方を向いています。
左腕の刺繍部分です。右腕と同じく、白龍が肩の方を向いています。
ジッパーです。YKK社が1950年代初期に製造していた引き手が2枚のタイプで、エンド部分が「いかにも」な形状をしている他、テープの下端は折り曲げ処理すらされていません。
サテン面の前側です。左右とも鷲の刺繍が入っています。
サテン面の後ろ側です。「JAPAN」等の文字の刺繍は無く、小さめの鷲が刺繍されています。
胸の刺繍部分のアップです。左右の鷲の位置が合っていません。
背中の刺繍部分のアップです。本当に小さい鷲です。別珍面の虎の丁寧な刺繍とは対照的で、サテン面はやっつけ仕事っぷりが強く感じられます。